高齢化率上昇に伴う従来の医療・老人保険制度では対応しきれない問題
超高齢社会とは、65歳以上の人口の割合が全人口の20%以上を占めている社会を指します。この高齢化の進行具合を示す言葉として、高齢化社会、高齢社会、超高齢社会という言葉があります。65歳以上の人口が、全人口に対して7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれます。
日本は、1970年に「高齢化社会」に突入しました。その後も高齢化率は急激に上昇し、1994年に高齢社会、2007年に超高齢社会へと突入しました。今後も高齢者率は高くなると予測されており、2025年には約30%、2060年には約40%に達すると見られています。
この日本の将来として予測されている高齢化環境を今まさに迎えていて、将来の社会モデルとも言える地域があります。
それが福井県若狭町です。
若狭町の高齢化率は2020年には35.9%に達しています。
その反面、生産年齢人口は減少の一途を辿っています。
町の中核病院は診療所にダウンサイジングし、町内の高齢者施設のベッドの2割は就労人口の減少により稼働していません。企業撤退もあって、この20年で人口は1.7万人から1.4万人に減少し、町における高齢者医療費の財源減少にも直結しています。
参考
令和2年国勢調査速報(令和3年6月7日発表)
若狭町の人口14,019人
高度経済成長の流れによって、都市でも地方でも、いわゆる「地域社会」が崩壊してしまったといわれています。そのため、地域社会の地縁や、地域で生活するインフラが、徐々に失われてきました。
地域住民同士の絆の希薄化、仲間力が弱体化し、孤立する方が多く見受けられるようになり、孤立死の問題などが出てきています。
こういった問題を解決していくためには、地域社会全体で超高齢社会を支えていく必要があります。
課題
超高齢社会
地域経済の衰退、町税の減収、空き家の増加、独居老人の増加。
健康維持
高齢化の進行は、医療費の増加など財 政的負担が増加するほか、社会活動の維 持などにも影響を及ぼします。
産業の衰退と雇用問題
第1次産業の就業人口は全体の 11.7%を占めているため、高齢化による農地 ・ 森林など資源の保全が低下。
コミュニティーの取り組み
若狭町では、85の集落と8つの地区でそ れぞれ特色ある運営を行っており、今後、 地域主権改革などの進行により、その役 割は大きいものとなってきます。住民意識調査における住民のコミュニティ意識では、80%以上の住民が集落行事 に参加するといった高い結果となってい ます。(若狭町調べ)
私たちはこの住民のコミュニ ティ意識の高さに注目し、小さなエリア単位でのデジタルヘルスエコシステムの形成、産業の創出が可能ではないかと考えています。
課題に対する取り組み
社会課題のモデルとも言える若狭町で、高齢者が介護を必要とする年齢を引き上げる取り組みがなされており、その活動は「若狭町生き抜くプロジェクト」と呼ばれ高齢者への定期的な栄養指導や運動指導によりサルコペニアを防止すると言う取り組みです。
サルコペニアとは、加齢や疾患により、筋肉量が減少してしまい、身体機能の低下が起こることです。
握力や下肢筋、体幹筋など全身の「筋力低下が起こること」を指します。 歩くスピードが遅くなったり、杖や手すりが必要になったりします。
弊社も福井大学医学部 地域医療推進講座教授 山村 修先生のご指導のもと、地域医療への貢献だけではなく、デジタルを活用したマネタイズモデルをご一緒に検討しております。
介護認定前の高齢者の皆様・医師・管理栄養士・シェフ・リハビリスタッフ・保健師・行政スタッフが、定期的に集合し、地元の食材や、必要な資材が運搬され、そこでバイタル測定、運動、作業を行います。
地域の人々が一丸となって目標を掲げて達成する、仕組みづくりを行ってまいります。
福井県 若狭町|地域医療情報システム(日本医師会)
JMAPは、各都道府県医師会、郡市区医師会や会員が、自地域の将来の医療や介護の提供体制について検討を行う際の参考、ツールとして活用していただくことを目的として、日本医師会が運営しています。